数日前のニセコの道端では、コウリンタンポポが咲き乱れていました。
コウリンタンポポは赤くて小さめの花を数個つけて、茎などに毛の多いタンポポの仲間。帰化植物です。
道内各地の道端や空き地で、初夏に咲き乱れます。
それに似た黄色の花はキバナコウリンタンポポと呼ばれ、50年ほど前に我が倶知安町が誇る植物学者の桑原義晴先生が初めて世に発表したタンポポです。
ということは、ニセコ地域にはキバナコウリンタンポポが多い、というわけなのでしょうか。確かに道内の他地域に比べてよく見る気がします。
帰化植物なので、「よく見る」ようでは困るのですが。
昨年の秋に、葉だけ残ったコウリンタンポポを見て
「この二種のタンポポは葉っぱだけで分かるのかな?」
と思い、今年は花がある季節にキチンと見てみることに。
キバナコウリンタンポポは、コウリンタンポポの色変わり品種というわけではなく、れっきとした別種ですので。
まずは、
コウリンタンポポは茎頂部からまとめて分枝(ぶんし)して、橙赤色の花をつけます。
また、萼や茎にも黒っぽい剛毛が多く、腺毛も混じります。
キバナコウリンタンポポは茎頂部から“ややまばらに分枝”して、黄色い花をつけます。
毛の量は少なく色も薄く、剛毛という質感でもありません。特に茎は、ほぼ無毛に近いものもあります。
茎はコウリンタンポポよりは細め。
ここまでは、花があれば、のハナシ。
そもそも花の色が違うので、毛の具合やら分枝の仕方など見ていなくてもパッと見で違いは分かります。
だけども花茎が伸びていなくて葉だけの時期では、どうしましょ。
コウリンタンポポは葉にも剛毛があり、触るとごわつきます。
剛毛の量は個体差もありますがおおむね多く、葉の表面にごく小さな黒点が目立ちます。
また、葉の幅は広めでしっかりした感があります。
キバナコウリンタンポポにも毛はありますが、少なめでコウリンタンポポほどは硬い毛ではありません。
葉表面の黒点も少なめ。
葉の幅はコウリンタンポポよりも狭いので、より披針形に感じます。
コウリンタンポポには匍匐枝を持つものがほとんどで、種子繁殖のほか地上茎で株を増やす性質(栄養繁殖)があります。
キバナコウリンタンポポには匍匐枝を持つものは少数でした(それらしきものを持っている個体もありましたが)。
コウリンタンポポの匍匐枝。
また、コウリンタンポポは地上スレスレにロゼットの様な葉を密につけます。
キバナコウリンタンポポには目立つ匍匐枝はない。
キバナコウリンタンポポの葉も一見ロゼットの様に見えますが、よく見ると茎についた葉(茎葉)も混じるので、葉の先端が上を向いてゴチャゴチャし、“いかにもロゼット形”という感じがしません。
※ただ、花茎がない時期に見れば当然茎葉はありません。地上葉だけの季節に見ればロゼット形に見えてしまうと思いますが、そこに違いはあるのでしょうか?課題です。
匍匐枝の有無のせいか、上から眺めると個体同士の密度が違います。
コウリンタンポポは密に群生します。
それに比べて、キバナコウリンタンポポはまばらに群生します。
これで葉だけの時期でも、コウリンタンポポとキバナコウリンタンポポを見分けられるか!?
帰化植物といえども、せっかく我が町の大先生が命名した植物なんだから、キチンと見ないとイケません。
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