スギランというシダがあります。
常緑性で、深山の大木や岩上に着生し、生育適地の本州産スギランは30cm以上の壮大な株を作ることもあります。
(新潟県産スギラン)
ほぼ日本全国に分布していますが、山深い森の樹上に着生するシダということもあって生育地も個体数も少ない上、その地味な姿からか、探して見てみようする人も少ないために情報量も少なめ。
しかも木の上に着生しているので、上を見ていないと気付かない、という側面もありますね。
多くの都道府県で絶滅危惧種として指定され、北海道RDBでも絶滅危急種(VU)に指定されています(環境省RLでは、絶滅危惧Ⅱ類〈VU〉)。
北海道での分布は、「奥尻島・日高南部・網走南部に稀」とされていますが、以前、胆振地方で見つけたことがあります。
ずっと見たいと思っていて、アタリをつけては上ばかりを見て歩いて―なんてことを数年繰り返してやっと見つけました。
(北海道胆振地方にて)
そんなふうに道内でコレを初めて見つけたのが3~4年ほど前で、実はその翌年、運良く別の場所でも見つけました。
そこは千歳近くの森。
「かなり北限に近いのではないか?」と思われるその個体は、ほそぼそと数個体程度だけ。台風で倒された大木に着生していました。
(千歳近くの森にて)
何せ、北海道ではまず出会えないシダ。
ワタシ的には大事件で、植物調査員などの一部の知り合いだけに場所を伝え、ごくごく一部でスギランブーム(?)があったくらいです(笑)
つい先日、その場所に再び行ってみたら・・・・・・・
風倒木処理がキレイになされ、スギランが着生していた倒木そのものがなくなっていました。
見つけた時は仕事ではなかったし、数個体程度の小さな個体ということで、別にどこかに報告していたワケではありません。
逆に、こんな誰も気づかないようなものは、誰にも言わずにそっとしておいた方がいいくらいだと思っています。
しかしまさか、ここまでキレイに倒木処理をするなんて思ってませんでした。いい仕事です。
適正な森林管理がされたくらいなのですが・・・ “気持ち的” には残念ですね。
またいつか出会えることを。
大事なコトは、「現在」の自然の姿をキチンと見て・知っておくことですね。出来れば記録をとって。
自然はいつまでも必ずそこにあり続けるものではない、と実感しました。
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