「ヤナギ」の仲間は、植物の中でも見分けるのが難しい分類群。
ヤナギとは幽霊とセットのあのヤナギではなく(”あの”ヤナギはシダレヤナギといい、中国原産の木)、河原にごく普通に生えているありふれた木たち。
花は超地味で誰も気づかず、実らしい実もつけません。なのに種類が多く、見た目も似てる…。
「ヤナギを見るのが、三度の飯より好き」なんて人には会ったことないし、たいていの人はスルー、のごくありふれた木です。
15年ほど前、ガイドの友人とそんなヤナギの識別を勉強しながら歩いている時に、道端にあったヤナギの木の前であーだこーだと話していたら、通りがかりの人に、
『何か面白いモノがあるんですかー?』
と話しかけられました。
ガイドのふたりはここぞとばかりに、
「この木はヤナギの仲間でですねー……」
と試しに話してみました。
すると、
『ふ~ん……』
と一言、さっさと行っちゃいました。
そんな冷ややかな反応を見たガイドふたりは、
「やっぱり、ヤナギの木に萌える(燃える)人はなかなかいないよね」
と学習したのです。
それ以来、ツアー中にヤナギの木に触れることはほとんどなかったのですが、先日なんと、
『ヤナギの見分けが出来るようになりたく、〇〇ヤナギを見てみたい』
という要望が!
『ヤナギが分かる人が周りにいなくて…』
と、そりゃそうでしょう…日頃ツアーで使わない技術ばかり無駄につけている甲斐がありました。
先日、そんなお客様のためになんてことのない河原でツアーをやっていたら、ラフティングなどの川ガイドの友人に目撃され、
「ヤブキさん、あんな場所で何やっていたんスかー」
と笑われました。
15年に一度しか開けなかった引き出しを開けました。
コメント
素晴らしい話ですね!
15年に1度空ける引き出しがあることがすごい!
相変わらず「スキマばかりでニーズがあるのかな?」というばかりだけど、私自身も楽しいんでまぁまぁ。