ガイド仕事の素晴らしさ

私には、ガイドになった一年目から自分のツアーの目標にしていることがあります。

お客さんに、
ニセコに行ったから―、ツアーに参加したから―、旅行の楽しい思い出が出来た
と感じてもらうだけではなく、
ツアーに参加したことをきっかけに、帰ってから日常の散歩や山歩きが楽しくなった
と言われるようなツアーをしたい。

そのためにはどういうツアーをしたらいいのか?どういうスキルが必要か?
この想いは20年以上、ブレてません。我ながら。

地域観光の一員であるガイドとしては、地域の自然を始めとした”地域らしさ”を紹介することも大事なことなんで、代表的な自然景勝地を案内しながらよくある自然解説をすることもあるし、団体旅行だって修学旅行だって今までたくさんやってきました。

ただ、その地域のお決まりの場所を紹介する―いわゆる ”美しい景色を見せに連れていく” ような自然ツアーだけで、自分のツアースタイルのすべてにしたくはない。

決まった場所で決まった解説をしたり、私が紹介したい自然の話しをお客様が一方的に聞く、という時間は私にとってはどーでもいいんです。ましてや「教える=教わる」の関係でもありません。
単純にその(ツアーの)時間を楽しんでくれているのであれば、自然の話しすらひとつもしなくたっていいと思っているくらいです。

何よりも、お客様なりの心地良い時間を当たり前に提供できて、安全管理や行程管理などはもっと当たり前にでき――その上で次にまた参加してもらうことで、少しずつ…少しずつ……自然を見る楽しさや知る喜びを感じてもらいながら自然を読み解く楽しさを知ってもらう。
そんなツアーの繰り返しで、お客様の日常の散歩風景までもが違った目で見えるようになったり、新たな趣味として自然散策や山歩きが加わったりするのなら、もう最高。

そんなふうに、私のツアーがお客様の日々の楽しさや人生の楽しみのきっかけになれば、ガイドとしてこの上ない喜びを感じます。

だけどそんなツアーは、今まで一度だって出来たことがあるのか自分ではよく分からないし、自分的に良いツアーが出来たと思うことすら年に一回あるかないか…いつまで経ってもそんなものです。

先日、10年前に初めてツアーに参加されてその後何度かやりとりのあるお客様からお手紙が送られて来ました。

ツアー以来山歩きを始めたようで、近所の散策から低山歩きの中で図鑑と向き合いつつ自然を見て歩く楽しさを味わっているらしく、
『先日は夢だった北アルプス登山まで行けて、お陰様で豊かな60代を過ごせました』
との感謝のお手紙。

ガイドの仕事って、時にお客様の人生の喜びにまで関わることの出来る、素晴らしい仕事です。

コメント

  1. タクミ より:

    ありがとうございます!
    Sさんと懐かしいニセコアンヌプリを思い出しています。
    北アルプスでは、ニセコで見た植物をたくさん発見しましたよ。

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