変わりものギンラン

『植物は葉緑素という色素を葉緑体に持ち、この葉緑体という器官で光合成を行っています。光合成は植物の栄養のもととなる仕組みで、その副産物として酸素を空気中に放出しています。』
なんていうことを、遥か昔に学校で習いましたね。

しかし植物の中には、生きるために必要な栄養を地中の共生する菌に依存して光合成を行わない植物もいて、それら植物を菌従属栄養植物といいます。
※依存の度合いも様々で、一概に ”光合成を行わない” わけではありません

こんな生き方は、身近な所ではギンリョウソウ、ラン科植物やシダ植物の一部などにみられる生き方です。
葉緑素を持っていないので植物体は緑色をしていないことがほとんどです。

ギンリョウソウ
サカネラン

光環境に頼らずに ”菌さえいればいい” という共生関係は植物のひとつの進化形態でもあります。

先月、真っ白なギンランを見ました。

アルビノギンラン?

通常は緑色なのに、真っ白になったギンラン。本来は光合成も行っている植物なんだけど、菌に依存する生き方に全振りした個体なんでしょうか。
本州に生育する「キンラン」にはこんなアルビノ個体が見られることがあるらしいけど、ギンランでこんな真っ白なものは初めて見ました。
※「部分的菌従属栄養植物」と呼ばれるタイプの植物には、完全に葉緑素を失ったアルビノ突然変異体が生じることがあるようです。

まぁとりあえず、「アルビノギンラン」とか「ハクラン(そんな植物はありませんが)とか呼んでおきました。

足元で壮大な進化が進んでいるのかもしれませんね。

通常のギンラン

菌従属栄養植物の生活様式を可能にした様々な適応進化 (末次ほか, 2014.)

菌従属栄養植物の系統と進化 (遊川, 2014.)

菌従属栄養植物の進化に伴う菌根菌相のシフト (辻田ほか, 2014.)

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