「かくありたい」

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たまには自然ガイドらしく・・・・・
ウキクサ(浮き草)のおはなしです。
そう、よく池で見る、葉っぱがふらふら漂っているアレ。
ここでいう「ウキクサ」とは、特定の種としてのウキクサではなく、
ゆらゆらと根をぶら下げている水草全般のウキクサのこと。
浮遊植物などといわれる仲間たちです。
このウキクサ、ねっから気ままに漂うだけ、というような、その日暮らし的な植物ではないのです。
葉に見えるものは「葉状体」というもの。これは葉と茎が合わさった器官。
できるだけシンプルに、ということで、それぞれ独立した茎や葉はいらない。
だから葉は退化させてなくし、その代わりに茎を進化させて葉の機能をもたせちゃった、というチカラ技。
しかもこの葉状体、不安定な水面に浮き続けるために、徹底的な念の入れよう。
内部(断面)には空気袋を配置し―、
上面は水を弾き、下面は水に吸い付くように仕掛けを施す。
これで少々の波ではひっくり返ることがなくなります。
これだけでも「やるなっ!」なのですが、
さらには・・・、
水中に伸びた10本前後の根は、長く、水中で揺らぐことで葉状体のバランスを保ち―、
根の先端には「根帽(こんぼう)」という“オモリ”まで装着済み。
ウキクサなりの(?)しっかりとした意志と覚悟をもって、不安定な生活を選んでいるように見えます。
その上、水面という限られた生息地の中にも関わらず、爆発的な繁殖力をもち、3ヶ月で400万倍にも増えると言われています。
水面を埋め尽くしたウキクサの風景は、夏を感じさせる風景となりますね。
しかし、四季のある日本。
冬になると、水草が浮くような小さな水面は氷に覆われてしまうことも。
そんな時期、水面を生息域にしているウキクサはさらなる対策をとります。
越冬用の冬芽は、水底へ沈んでいき、一斉に避難。
氷の天井に覆われた暖かい水底で冬を越し、春になると再び水面に浮き上がってきて芽を出します。
不安定な身の上にここまで徹底した対応をとるとは・・・、脱帽デス。
ただただ波に身を任せてなすがまま・・・ではなく、しっかりと自分の意志で(?)、水に身を任せる生活をしているのです。
それどころか、大波が来てもさらっと水の猛威をかわし、何事もなかったように浮き続けます。

不安定な仕事や、いわゆる“やくざ”な商売のことを、「浮き草商売」や「浮き草稼業」などといいます。
ガイドのような仕事も、ある種の浮き草稼業―。
しかし、不安定きわまりなく、気ままなだけに見えるウキクサも、これだけの“地に足ついた”働きを目立たぬ所でとっているのです。
ワタシもかくありたいものだ、と思うのであります。

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