カタクリは花を咲かせるまでに平均で8年程度かかると言われています。
となると、ワタシらが花を見て「キレイだね~」と言っている個体は8歳くらいなわけです。
じゃ、1年目や2年目以降の花を咲かせていない個体はどんなでしょう。
ということで今回は、カタクリ実生探し。
実生(みしょう)とは?
種子から芽吹いた一年目の状態のこと。実生が出す葉を子葉(しよう)という。
カタクリって普通は花が咲いてから愛でるものですが、今回は咲く前の“芽吹き”のタイミングを狙って観察です。
(なにせ、カタクリの実生は超ミニサイズなので地面に突っ伏さないと見つかりません。そうなると、咲いたタイミングに探すと場を荒らしてしまいます。まだ地面からたくさんの個体が出てきていない、くらいの時期に探すのが環境に優しいですね。)
カタクリの実生(一年目)ってこんなです↓。まだ先端に種子の殻(種皮)をかぶってます。
サイズ感はこんな↓。茎は1mmくらいで高さ1.5cm程度(“茎” と書きましたが、これがカタクリの “子葉” になります)。
今年は葉のような形の葉は作らずに、この子葉で栄養を蓄えておしまいです。
こちらは2年目以降でしょうか。実生の状態よりも少し成長しているように見えます。
こうなると、葉っぱのような姿ですね。
少しカタクリらしくなってきました。
こうなると、だいぶカタクリっぽい。
こうなれば、もう分かりますね。
花を咲かせるステージ(有性個体)となるまでに、上の写真のような姿を経ながら少しずつ光合成をして養分を蓄えているわけです。ここまで、平均で8年程度かかるということ。
ちなみに、カタクリの寿命は15年以上にもなると推定されています。
個体の大きさは蓄えた養分量で決まり、種子を作ったために養分の貯蔵量が減り、また無性個体(花を咲かせない個体)に戻ることもあります。そのために、葉の大きさで年齢を推定することは困難です。
せっかくなので、“その後” もどうぞ。
野生のカタクリの中には白い個体も稀にいます。
劣勢の遺伝子が発現したものと言われていて、数万分の1の確率で出現します。
黄色いカタクリは西洋カタクリと言われる園芸種のひとつで、和名ではキバナカタクリと言われますが、カタクリの属名である “Erythronium” から、エリスロニウムと呼ばれることが多いようです。
前にニセコの神社で偶然見つけました。植えられたのか、近所の庭先から逃げ出したのでしょうか。
覗き込むと蜜標の形が様々です。これについては、過去に当ブログでご紹介していますのでそちらを。
→2012/5/3投稿 「道標」
はれて受粉に成功し、種子を作るとこんな姿となります。
「種子にはエライオソームという付属体があり、アリが運んで・・・うんちゃらなんちゃら・・・・」
という話しも観察会等でよく聞く話しですが、それはまたの機会に。
花を見て美しさを愛でるのも良し。
せっかく名前を知ったなら、こんな生活史にまで思いを馳せて愛でてみると、また面白いですね。
そのためには、開花していない個体を探す、という楽しさもありなのです。
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