夜の女王

キカラスウリは林縁や道端に生えるつる植物で、本州ではよく見られます。
この花は夜になると咲き翌朝にしぼんでしまうという、変わった生活史を持った植物。
我が道をゆく的というのか、ひねくれているというのか、そんな夜の花のお姿を見てみたいと思っていました。

しかしこのキカラスウリ、北海道ではかなり分布が限られていて、道南の限られた場所でしか見られません。
さらに葉だけの状態でせっかく見つけても道内では花を咲かせる個体は少ないようで、今まで蕾すら見たことありませんでした。

しかも ”夜に咲く” ということは当然夜に歩かないといけないわけで、ヒグマとの遭遇リスクを考えても、遊歩道とはいえあまり森の中に積極的に入りたくないし…。

10年以上前にキカラスウリを初めて見つけた時には、後日わざわざ車中泊までして再訪し、真っ暗闇の薄気味悪さにクマの恐怖と戦いながら夜に見に行ってみたら、花を咲かせた個体はひとつもなく…結果、花は咲かない、という確認のために往復500km走ったこともありました。
当時はその一箇所しか知らなかったのでもう諦めるしかありません。
そんな苦い経験もあります。

その後、今に至る10年以上の間にコツコツと経験値を積み、各地を色々と歩き回って色々と見てきて、キカラスウリについても道内で数カ所の生育地を見つけています。

ということで、リベンジに行ってきました。

まずは、夕方までに生育地のポイントを回って蕾の有無を確認します。
葉っぱの量の割に蕾を付けた個体は本当に少なく、暗闇の中で探すには効率が悪すぎます。
私もだいぶ学習しました。

なんてことのない道端なんかにもあったりするのでそんなポイントもチェックしていたら、近所の犬に吠えまくられてしまい、近所のじーちゃんばーちゃんに怪しい目で見られ……そんな場所では夜の観察は却下です。
クマの心配のないポイントだと、不審者に間違われる恐れがあります。
観察のマナーも大事にしましょう。

森林内の公園の遊歩道沿いのポイントも行ってみたけど、日中ですら誰も歩いてないし、入り口には”ヒグマ注意!”の看板が猛アピール。ポイントまでは森林に囲まれた道を歩かねばならず、なんだか気が乗らず……。

そんなこんなで3箇所目のポイントへ。
ここは郊外の道端ポイントで、クマの気配やら暗闇の薄気味悪さはまったくありません。

そこでひとり”つる植物”をかき分けていると(十分怪しいけど)、蕾をつけている個体群を発見。
夜にカメラ片手にふらついていたらなおさら怪しまれる恐れもありましたが、どうせ誰も歩いていないし大丈夫でしょう。

ということで近くに車を停めて、暗くなるのを待ってみたら……さっきまで蕾だったものが咲きました。

変わった形でしょう。

本来はもう少し整った糸状の花もあってこんな寝癖だらけのようではないのですが、キレイな花を選べるほど咲いてないので仕方ありません。もしくはもっと遅い時間に来れば良かったのか。
まぁまぁ…お腹も空いたしこんなもんで勘弁してあげます。

寝癖だらけでないキカラスウリの花はGoogle様におまかせしますんで、こちらを見てみて下さい。

キカラスウリ - Google Search

ともかく10年来のリベンジが果たせました。
夜の女王様に謁見完了です。

相変わらず、自然ガイド技術にはまったく関係ありません。

コメント

  1. あんな より:

    先日天草へ行ったのですが防波堤沿いの海辺で、ふと気になる花が…
    よく見ると…同じ花を発見しました!!
    ほとんどが実になっていましたが、花がひとつだけ残っていて奇跡的ふわふわ髭のような花を見ることができました。このブログを読んでいて、実際に自然の中で発見できると嬉しいですね!ありがとうございます(^^)♪

    • Ftre-zen より:

      おぉ、タイムリーでしたね。「おっ、これはっ!?」という発見があると、嬉しいものですよね。まさに「気づける楽しさ」です。お役に立てたようで良かった。
      こんな植物は本州の方が本場なんで、寝癖みたいな花じゃなくてふわふわ髭のような花が見たいなぁ。
      夜のお姿もまたオツなものなんで、来年は夜にも探してみて下さい。

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