「雪の降る夜は・・・」

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日本の自然をみるには、日本独自の文化や民俗にも精通している方が楽しい、と思っているワタクシは、
そこいら辺の書物を読むことも多く、そんなことをしていると、各地に伝わる妖怪話なんぞにまで手が拡がり、
キリがありません。
雪の季節はご存知「雪女」の季節ですが、こちらはどうも悲しい話が多く、しんみりしちゃう。
そんな中、「白粉婆(おしろいばば)」が異彩を放ってます。
白粉婆とは、雪の降る夜に、白粉(おしろい)を塗ったお婆さんが杖をつきながら
大きな破れ笠をかぶって徘徊し、酒や白粉をねだる、という妖怪。
要は、「厚化粧のお婆さんが雪の中、酒をねだりながら歩く」 だけ(?)なのですよ。
まったくもって、何がしたいのか分からん、のです。
江戸時代の画集、「今昔百鬼拾遺」では、
『紅おしろいの神を脂粉仙娘(しふんせんじょう)と云、 おしろいばばは此神の侍女なるべし』
とあり、「脂粉仙娘」という白粉(おしろい)の神様の “侍女” が、この白粉婆である。
と書かれています。
しかもその白粉の塗り方が厚ぼったく、見るからに恐怖を覚えるらしい・・・。
どれだけ厚化粧なのよ・・・。
にしても、
“白粉(おしろい)” にも神様がいるんですね~。いかにも日本らしいこと。
だけどそもそもどうして、神様の侍女が雪の降る夜に徘徊して酒やら白粉をねだるんでしょ?
しかもそれが厚化粧の婆さんって・・・。
お婆さんだって、化粧もしたけりゃ、酒だって飲みたいだろうに・・・。
こんなワケ分からんところも日本の逸話の面白いところ。
とまぁ、一体全体何がしたいのかよく分からん妖怪ですが、
かつての豪雪地帯では、吹雪の時に家から出ることは命に関わることでした。
そんなときに外に出ると、恐ろしい雪女や白粉婆に出会ってしまうから、家でおとなしくしてなさい、
という子どもたちへの戒めのために、このような逸話が生まれたフシもあります。
ただいま風邪気味のワタクシは、窓の外の吹雪を眺めながら、そんな本を読んでます。

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