クズは日本全国に分布する植物で、山野の明るい場所に生えます。
北海道では少し偏った分布をしていて、道央から道南の海岸部が主な分布地で、内陸部では札幌~千歳あたりや洞爺湖周辺・旭川周辺で見るくらい。ニセコではほとんど見ない植物でもあります。
道東や道北の大部分では、そもそも見ることのない植物です。
しかし本州では道端だったりちょっとした空き地にわさっと生え、一面のクズ畑、といった風景も見られます。
そんな旺盛な繁殖力から、かつて日本からクズを移入したアメリカでは、今や「ジャパニーズグリーンモンスター」などと呼ばれ、緑の砂漠を作り出す侵略的外来種となってしまいました。
とはいえ日本ではれっきとした在来種。
(北海道の一部を除いて)どこにでも生える身近感から、日本人にとっては古くから様々な利用をされてきました。
秋の七草を初め、根からでんぷんを取る ”葛粉” が有名でしょうか。
”葛布” はで今でも静岡県掛川市の特産となっているし、”つる” は縄として古くから利用されてきました。
根は ”葛根(かっこん)”、花は ”葛花(かっか)”と呼ばれる生薬にもなりますね。
地域によっては若葉を天ぷらにして食用にしたり、”朝縄夕藤” なんて言って信仰(戒め)の対象にもなったりもします(朝藤夕縄の記述もあり)。
私も小さい頃には、おやつ替わりに ”くず湯” をよく食べた(飲んだ)記憶があります。
我が家のくず湯は、葛粉(当時はおそらく片栗粉で代用していたと思いますが―)に砂糖を少しだけ入れ、お湯で溶いただけのもの。
今聞くと、ずいぶんビンボーな感じもするような…。
我が家は特に貧しい生活だったわけではないと思いますが、小腹が空いたらくず湯を食べる、ということが多かった気がします。
これが ”くず餅” になると、きな粉や黒蜜なんかが高級菓子感を一気に醸し出し、たまに買ってきてもらうと大喜びしたものです。
懐かしい。
こんなあれこれ話しを思い出すクズの花が、キレイに咲いてました。
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コメント
へぇ~草木染めも出来るんですね。
本州ならたくさんあるし、材料に困りませんね(笑)
ホント、色々と利用されているんですね。
昨年はクズの葉で草木染めをしましたよ。煮出した液を何度か捨てていくと液の色が茶色から緑色に変わってきます。
花もきれいですね。
いつもご覧いただいているようで、ありがとうございます!!
クズを刈り払ったらアレチウリとは、なかなか手に負えなさそうですね。
アレチウリも道内では5箇所程度しか確認されていなく、私もまだ見たことがありません。
本州でアレチウリを見たときには、「これがかのアレチウリか~」と思いました。
クズの周りに写っている白い花は、オオイタドリの花。
道端のオオイタドリに絡みついて、クズ群落が出来ていました。
待ちかねていたクズ、きれいですね!
近くの道端のクズはすっかり切り払われ、今は北アメリカ原産のアレチウリが我が物顔ではびこっています。
クズを囲んでいる白い花は何ですか?