ナチュラリストガイドというカテゴリ

今回は現役ガイドや自然を深くみたい人向けの記事で長文になります。

今夏にブログを新しくした際、右カラム(スマホでは本文下部)のカテゴリ部分に「ナチュラリストガイド」というカテゴリを作っておきました。気づいていました?
まだそこに該当する記事は多くありませんが。

そもそも、「ナチュラリストガイドって何よ?」ですよね。

私が勝手に言っている自然ガイドのひとつのカタチ(スタイル)なんで、そりゃ分からんでしょう。
世間一般の「自然ガイド(ネイチャーガイド)」のイメージとは少し違っている気がしています。また、ビジネス的な観点とはあまり相まみえないかもしれないし、ましてや、流行りの「なんちゃらツーリズム」やら「なんちゃらトラベル」などのツアースタイルのガイド像にはそぐわないでしょう。そこいらの”看板”には私自身まったく興味ありませんし。

あくまでガイド個人がお客様個人に何を伝え、どういう立ち位置でいたいか、というところ。

ナチュラリスト的側面

世に「ナチュラリスト」と言われる人はたくさんいます。
自然健康食品しか食べないとかいう人のことではなく、あくまで”自然”に対するハナシ。

これといった定義があるか知らんけど―

『自分の知らないものや見たことのないもの・見たい世界に対しての欲求と知的好奇心に溢れ、それを求めてフィールドに足繁く通う探求心あふれるヘンタイ(褒め言葉)

みたいなイメージでしょうか。まぁ、一般的にざっくりと”マニア”なんても呼ばれます。

広範で膨大なフィールドワークに基づいた知識と経験。
場所や分野に捉われない個の識別力と広い視野を持った自然の見方。
いつも変わらぬ探求心と行動力。
―私の周りにはこんな愛すべき人が数多います。

調査員や研究者のプロフェッショナルの方々や、逆に、”植物好き”や”鳥好き”など自然観察を趣味としたアマチュアの人に多いイメージです。
むしろ、プロやアマは関係ありません。そんな立場を超えたモノ好きな人種(褒め言葉)です。

そんなナチュラリストは往々にして自分の好奇心を満たすことに時間が足りないので、人にその楽しさを伝えているヒマなんぞない。内輪のコミュニティでたまに互いの見識を共有しているくらいが、ちょうどいいのかもしれません。このテの人で、超社交的でいつも朗らか・いつも静かに笑っている…なんてタイプは見たことがありませんし(そういう人もいるのでしょうが)、どちらかというと、ひとり内に秘めたギラギラを感じるくらいです。
なので別に、他人に楽しさを分かってもらわなくてもいいのかもしれません。

ガイド的側面

ガイドには「管理能力」と「伝える力(表現力)」が大事です。
もしかすると実は、知識力や情報力・識別力以上にこれがないとガイドとは言えないとも思います。

自然ガイドは往々にして自然に対する知識や識別力で技術を図られるものですが、実は「管理能力」や「伝える力」の意識と技術が最も優先的に向上させるべき技術であり、ガイドがガイドたる所以です。

またこれは、お客様の前に立つことでのみ向上するもので、むしろ、お客様の前に立たないと向上しない、と言ってもいいかもしれません。なのでガイドは、お客様の前に立つ経験を通して自身の管理能力と伝える力を育てるものなんです。テキストで出来るようになるものでは決してありません。

とはいっても、自然に対する知識・情報量、自然の見方の見識、といった一般的に重要視される部分も当然のように大事です。この「知識力や情報力・識別力」は持っていて当たり前のように身につけるべきですが、やっぱりそこだけでガイド力を図ることは出来ないのです。
どんな仕事でもスキルの根本が世間一般から見た評価基準と違う、なんてことはよくあることで、そこがまた技術職系の仕事の面白い所なのかもしれません。

ナチュラリストとしての個人と、ガイドとしてのプロ

ナチュラリストとして積み重ねてきた幅広い見識や知識、専門性や情報力とともに、ガイドとして重要な「管理能力」と「伝える力」の技術や思考を兼ね備えることが、私の思うナチュラリストガイドとしてのキモでしょうか。

ひとりのナチュラリストとして、ツアー(仕事)に関係なく自身の探求心のまま見識を積み重ねて専門的な知識も深め、一方でガイドとして、お客様のニーズや嗜好・方向性を見極めた上で持っている情報や知識を編集・調整してツアーで表現する。

こんなふうに書くとたいそうおカタく感じたり、敷居の高いツアーのように感じてしまう人もいるかもしれませんが、当然「お客さんがこうしなければイケない」ということはないので事前知識が必要なわけではありません。
「キレイ・気持ちがいい」と思う感性があれば十分。というかむしろ最初はそれが大事。

だけど、その先に「分かるようになる・見れるようになる・知れば見えてくる」世界があり、そこがナチュラリストが探求する世界なんです。

何度もリピートしてもらうことで、ここいらを少しずつ感じてもらって気づきや視野を広げてみたり、私自身もお客さんとのやり取りの中で色々な視点を共有できることが楽しいのです。

そんなナチュラリストとガイドの両側面のバランス感覚を持ち合わせた自然ガイドの立ち位置が、私のいう「ナチュラリストガイド」なんです。そうありたい。

あくまで私一人が私自身の立ち位置を言っているだけですんで、自然ガイド業界や体験観光に何かの変革を提唱しているわけでも、ツアーの参加にあたってお客様に何かを心してもらいたいわけではありません。

ナチュラリストガイド的思考、技術論もたまには…

今まで、当ブログではこういった、ワタシ的に思う「ガイド技術や思考」「自然の見方の深め方」という部分には一切触れてきませんでした。
何せ私自身が地下潜伏型なんで、こういうことを積極的に発信することが得意じゃない。
別に誰がどんなツアーをやっていてもいいし、その多様性がいいと思っているくらいです(質の問題は置いておいて)。
そもそも私自身、ガイド仕事をしながら、いちナチュラリストとして探求することで時間が足りないし。

だけどもここ数年、こんな私のガイド的立ち位置にある種の憧れを持ってくれる若者やガイドさんがいます。もしかするとその人は”崖に向かって歩いている”のかもしれませんが…。

そんな一部のニッチなニーズ(だけども愛すべき人たち)のためにも、このスタイルで私が悩んだことや得た考え方、技術や知識のつけ方・自然の見方のコツなどを”ナチュラリストガイド”というカテゴリ内でたまに書くようにしよう―、地下に潜伏ばかりしないで少しは発信しよう―、と去年から画策していました。

ガイド的な技術を知りたい人や自然をより深くみられるようになりたいという人は、カテゴリやタグからその記事だけを抽出していつでも読み返すことが出来ます。参考程度にはなるかもしれません。
だけどツアーに参加されるお客様にとっては、そんなガイド的内情はどうでもいい話しだろうから、ツアーに関わることやお知らせの部分だけを読んで下さい。

なのでまず最初に”読みたい記事と読むのが面倒くさそうな記事”を選びやすいようにして、本文に入ったら出来るだけ読みやすく・見やすくしたい、という今回のブログ改変の趣旨に繋がるわけなんです。

ごくたまに気まぐれ、の投稿になるかと思いますが、少しでも参考になる人は是非お付き合いをよろしくお願いします。リクエストがあれば、こっそり教えて下さい。

コメント

  1. のだかずき より:

    お久しぶりです。
    じっくりと去年受けた倶知安風土館での講習を思いだしながら読ませていただきました。
    地下潜伏型わらいました。笑

    ガイドという職業に憧れて約1年経ちますが、矢吹さんのスタイルのガイドになるためには道のりが遠いなぁと夜に毎週思っています。ブログの更新楽しみにしています!

    今後ともよろしくお願いします。

    • Ftre-zen Ftre-zen より:

      コメントありがとうございます!
      たまにはこんな記事も書くようにするので、時間のある時に是非チェックしてみてください。私も少し地上に顔を出しますんで(笑)
      というか、今度また直接ゆっくりと話しながら近況報告でも。
      楽しみにしてますよ!

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