科学と感性

今回は自然ガイドのような伝える立場の人向けに、自然の見方の観点をご紹介。
ここを意識出来ると、自然を理解する手助けとなったり、いつでもどこでも楽しめるようになる(かもしれません)。

科学

自然ガイドはどうしても自然に対する知識量や識別力で技術を図られることが多く、実際のツアーでも必須の能力です。識別や知識に長けているからガイドとして優れている、というわけではないですが、実際問題として、「これなんですか?」と聞かれて「知らないっスー。そんなことよりも……」じゃハナシになりません。

ここでいう「科学」とはムズカシイ話しではなく、「事実」のこと。
その植物がなんという名前なのか―に始まり、識別点はどこなのか?いつ咲き、いつ枯れ、どんな分布や生活史を持っているのか。
その森にどんな自然が広がりどんな動物が生息し、それぞれの名前は何なのか。
その地域にどんな歴史があり、どんな環境やどんな森が成立しているのか。
…などなど、様々な自然科学上の事実のことです。
文献を勉強することで知識を積み重ねることも出来るし、フィールドワークでのみ体得できる知識もあります。

感性

だけども、そんな科学的事実だけではつまらない。
もっと人間の根本的な心の部分―自然をみて美しい、と思う感性や、ぱっと見で面白いカッコいいカワイイと思う感性もとても大事です。
私は森の光の美しさやシダ植物の美しさ、樹姿なんかにビビッときます。アレです。

感性は”事実”と違って十人十色。そんな目の前の美しい世界を改めて気づいたり共有することも大事です。そのためには、自分自身の感性を育てることが大事ですね。

伝えるためには…

ツアーでよくひたすら動植物の名前を紹介したり、自然の難しいネタを切々と語っているだけのツアーを見かけることもありますが、”科学”一辺倒のハナシってのもどうかと思います。

その 科学的事実をどうみせて感じさせるのか。

そこに”科学”を解釈したガイドなりの個性が出ます。
事実と解釈を混同することは自然を理解する上でご法度ですが、事実を事実として解説し、それを上手くみせることが出来れば、聞く側には体感を伴った解釈が生まれます。

そしてそんな科学的事実だけでなく、自然の美しさや自分なりの”好きな情景”を見つけたり・探したりする感性も自然を楽しむ上でとても大事でおおいに尊重すべき部分です。

だけどやはり、「かわいい~」「きれい~」だけで自然を見続けても、本当の意味で自然を理解することは出来ません。

要するに、「科学と感性のバランスと、両者の行ったり来たり」なんです。

このバランスを意識しながら両側面の見方を向上させることができれば、自然をみるチカラ・楽しむチカラ・気づくチカラがぐぐっと上がります。

自然観察を趣味で楽しんでいる人は自分の好きなように楽しむのが一番ですが、それを伝える立場の人や、自然の中を歩いていても何か昔のように楽しめなくなった、という人はこんな視点をきちんと言語化して整理してみると新たな気持ちで歩けるかもしれません。

私自身は、自分のツアーで「科学一辺倒(または感性一辺倒)で突っ走っていないか?」という自問をしながら行うようにしています。当然、科学一辺倒が大好きなお客様もいるので、それはそれで突っ走る時もありますが。

また実はここの部分、ガイドのような立場の人でなくとも、自然写真を撮る際にも役立つ意識なんです。
何故なら、写真もひとつの伝えるためのツールであり、表現するための手段ですから。そういう意味では、ガイド仕事と通じるものがあります。
そこいらは『ヤブキ的・自然がみられるようになるためのネイチャーフォト講座』として紹介していたりするのですが、それはまたの機会に。

コメント

  1. 野田和規 より:

    矢吹さん、いつもありがとうございます。首を縦に何度も振りながら読ませていただきました。
    12月から2週間ほど、ガイド以外の活動とインプットのために九州に来ています。時間があるときに観察会に参加しているのですが、自然に対する知識量を見せつけられてちょっと落ち込んでいました笑
    ぼくは研究者でもないし地頭の良さはもちろん後何年かかるんだという、焦りですね。笑 
    細くでも長く続けていきたい(何より自分が楽しい)ので、引き続きメンタル保ちながら平均スピードを落とさずにやっていきたいと勇気付けられました。

    • Ftre-zenFtre-zen より:

      やればやるほど知らないことに気づき、ヘコんだり焦るものです。かく言う今の私だってそうですから。
      きっといつまでもそういうものです。だから大丈夫です(笑)

      • 野田和規 より:

        矢吹さんでもへこむことあるんですね。😂
        ぼくには抜群のメンタル安定に見えてます。笑
        出来ることを出来るだけやっていきたいと思います!

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