自然の時間軸

今回は、自然ガイド向けの投稿になります。

自然ガイドの仕事をし、かつ、自然をもっと見られるようになりたい、と思っている私にとって、11~12月の初冬の頃は大事な時期です。

20年近く前は、
「鳥が見分けられるようになりたいな…」
と思いながらも、冬はいつも通りスキーを滑り倒し、仕事では日々ツアーを行い、そんなことしていたらいつの間にやら暖かくなりだして……それでも残雪を楽しみ……気づいたらG.W.近くになっていつの間にやら鳥の季節の本番を迎える、なんてことがよくありました。

そんな時期になってから、
「最近鳥がよく見られるようになってきたから、さぁさぁ、今年こそ鳥の勉強をしよう!」
なんてスイッチを入れ出して勉強を始めたもんですが、それってもう遅いんです

森に鳥の声が溢れ、半日も歩いたら数十種もの鳥が見られる5月は鳥の勉強をするには最高!に感じるかもしれませんが、初心者にとっては見られる対象・覚える対象が多すぎます。せっかく教えてもらう人がいても、すぐにアタマが飽和状態になって整理が追いつかないものです。

それでも何とか頑張って、やっとアタマが整理できた頃には7月近くになってしまい、鳥の気配はパタッと止み、7月から翌4月の間でまた忘れる……というパターンです。(経験上)

これは鳥に限らず、花の咲く時期が限られている植物も同じ。

「今年こそ、スミレを見られるようになろう!」

なんて思っていても、そもそも現場で違いが分からない、見るべきポイントが分からない、写真を撮っておくべき識別点も分からない……そんな同じことを毎年繰り返してました。

自然の時間軸

北海道(ニセコ)では、近郊の早い場所では3月半ばから春植物が咲きだし、4月にはカラ類のさえずりが盛んになり、5月にもなれば夏鳥が続々と渡ってきます。
そして、5月半ば以降の新緑から植物が急に増え、6月はランの季節、7月半ば以降は夏植物たち……と、季節は刻々と移り替わります。

もうこれは、私のやる気スイッチなんぞ関係なく、世の中の動きに関係なく、コロナも関係なく、粛々と移り変わっていきます。
学校での勉強などでは4月区切りなので、人間の生活の時間軸に合わせていると、冬から春の移り変わりを見逃していまいますね。

自然には自然の時間軸があります。

至極当然、当たり前すぎてバカにするな、ですが、ここを改めて意識することがとても大事です。

アタマの準備

自然の勉強に限ったことではありませんが、何か新しいことを学ぼうと思ったら、いきなり本番!では無理があります。

様々な仕事の打ち合わせだって、打ち合わせ前に内容を熟考しておき、相手のことを知っておいて、問題点を事前に洗い出しておいた方が、効率のいいより良い打ち合わせが出来るというものです。

自然の勉強だって、事前にその地域にある動植物の名前だけでも知っておけば、現場で得られる情報量に格段の差が出てきます。
名前くらいは何となくでも知っていて、現場でより深く観察が出来ればより記憶に刻まれ、より覚えられる余白が生まれて幅が拡がり、現場での学びが楽しい。限られたフィールドワークが無駄になりません。

なので鳥やら植物やらの個々の勉強とともにガイドスキル全般に渡って冬の間にスキルを整理し、課題をみつけ、それに向けて準備をして、アタマを整理して……そんな出木杉君のような優等生的予習が大事。だって、あっという間に季節が進みますから。
そんな準備をした上で、緑の季節になったら日々の仕事に忙殺されながらも出来るだけフィールドワークにいそしみましょう。緑の時期にアタマの整理をしている場合じゃありません。

そこいらの準備が出来ていなくて、現地ですぐにアタマが飽和状態になってしまい整理が追い付かなくなる若手ガイドさん……よくいます。

11月~12月の今こそ

だからこそ私にとっては、”冬が本格的に始動していなく、だけども夏シーズンはおしまい” のこの時期が、「来年はこれが見られるようになりたい」とか「来年こそ、こんなことをやるぞ」ということを考えるタイミングなのです。

そしてそんな11月~12月に決めた課題を元に、真冬の間は図鑑を読み込んだり、フィールドワークの場所を見当つけたりのデスクワークをしています。

『フィールドワークは机上が7割』なんてことを言っている知り合いもいるくらい。

この時間があるからこそ、冬~初春の移り変わりを逃がすことなく感じられ、いいタイミングにいい場所へ足を運ぶことが出来るんです。

夏シーズンの動き方は前年の12月までに決めるのです。

12月までに課題を決め、1月~3月にアタマを整理して情報を消化し、4月以降は現場で見る経験値を積む―コレです。
ワタクシこの10年以上、この時間軸で動いてきました。多分、間違いない。

コメント

  1. 外崎雄斗 より:

    全さん、おはようございます!
    いつも僕たち若手ガイドのために、リアルでためになるお話をありがとうございます。
    昨年はディスクワークのインプットがメインで、フィールドでのアウトプットやインプットが足りてなかったなと反省したので、今年はたくさんフィールドに出て色んなことに気づいて、楽しみながらお友達を増やそうと思っています。

    今年もよろしくお願いいたいします。

    • Ftre-zenFtre-zen より:

      お久しぶりです。
      あまり考えすぎず、楽しみながらでいきましょう。といって、今の私も滑ってばっか。
      私もまだまだ若いんで、負けませんよー(笑)

  2. 野田和規 より:

    いつもありがとうございます。
    今日も読ませていただきました。しっかり文字で書き起こして考えます!

    • Ftre-zenFtre-zen より:

      少し真面目に書きすぎた感があるので、そんなマジメに考えなくてもいいですよ(笑)
      頭の片隅に、程度で。
      こんなエラそうなこといって私だって、youtubeをだらだら見てみたりネットサーフィンを無意味にしたり…怠惰な一日を過ごすこともよくありますんで。

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