「オカダモ」

ヤチダモという木があります。
この木は「谷地(やち)に生えるタモの木」ということで河畔や水辺・湿地などに多く生え、河畔や沖積地などで森を作ります。
またカツラという木も河畔などの水分の多い所に生えることが多いですが、こちらは土壌が薄い崖地などに多く生える傾向にあり、渓谷などの両岸急斜面などにも多く見られます。
ということは、両者とも山や丘の部分に生えることは稀なこと。何せ尾根は風があたり、乾燥しがちな環境ですから。
先日、林道を走りながら小さな山の頂上部にさしかかったころ、林道脇の森がヤチダモとカツラの森……。
違和感たっぷりです。
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谷地に生えるからこそヤチダモなんだから、斜面上部の丘に生えるヤチダモの木は「オカダモ」などと一部で呼ばれています(笑)
植物は他の生き物と違って動けないので、その場所が生育に適した環境でない限り芽吹くことはありません。
つまり、そこに生えている、ということに大きな意味があるのです。
ということで、ここ・・・“地すべり地形”?
何十年も前のことなのか、山の上部の斜面がズルッとずれて、その上に森が形成されたのでしょう。
そんな地形だから、尾根近くでも土壌中には水が多く含まれていてヤチダモが生育し、まさに地面が動いた場所では土壌が薄いためカツラが生えているのでしょうか。
よく見れば、いかにも地面が動いたような微地形も多く、水の通り道もたくさんあります。
そんな所の足元を見れば、湿り気を好む草花も多く、森全体が尾根近くの普通の環境とはちょっと違う。
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ここは、自然景勝地のような場所ではないし、看板も当然ありません。
展望だってまったくない、ただの林道脇。みんな通り過ぎちゃう。
だけど、こういう何気ない自然の風景に違和感を感じて気付ける、って楽しいものです。
自然をみる、って楽しいんですよ。

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